真夏の夜の夢
服部がオレの身体中舐め回したりなんかして… オレはというと、そんな服部の行為に甘い声を出したりなんてしちゃって… オレ…別に同性が好きなわけじゃないし、抱かれたいなんてまるっきり考えたこともないんだぜ? なのに、何で…? 朝起きるとあまりにリアルな感覚が残ってて、もしかして夢現つの服部の行為も、実は現実のことなんじゃないかなって 服部のこと、ただの同居人としか思ってなかったのに、この頃はまともに顔さえ見れなくなって… 昨日は夢で服部にイかされてしまったから… 『これが・・・気持ちええんか?我慢せんでも出したらええねんで―――?』 そう耳元で囁かれて、オレは服部の手の中で達してしまっていた。 そう、オレは毎夜繰り返される愛撫に快感を覚え、さらなる快楽を求めている。 もっともっと愛撫して欲しい。 もっと、もっと―――… しかも、夢だけでは満足できない。 オレは、現実でも服部に抱かれたいって思ってる――― こんなことを悶々と考えていたら興奮して寝付けなくって、いつもなら12時を回る頃には夢の住人となっているのに、 台所で水でも飲むのだろうかと耳を澄ませていると、足跡は段々とオレの部屋に近づいてきた。 オレは思わず息を呑んでしまった。 ガチャリ、と鍵を回す音がしたのだ。 (鍵…外した?これってば夢…?) オレの疑問をよそに、服部は静かにドアノブを開け、オレの部屋へと侵入してきた。 オレは更に息を潜めてことの成り行きを見守った。 真っ暗なのに、服部は迷うことなくオレのベッドへと近づいてきて、オレのすぐ傍までやってきた。 ふいに服部の手がオレの髪を梳いた。 と、思った次の瞬間、オレは唇を塞がれていた。 突然の感触に思わず身体が強張ってしまった。 (夢、じゃない―――…?) ほんとにほんとに、あの服部がオレに夜這いをかけてるのか? 昨日までのも夢じゃなくて現実? いつもオレに関心なくて素っ気ない態度しか取ってなかったヤツが、なんで? それともオレの頭がすでに麻痺していて、夢なのに現実のことだと思い込もうとしているんじゃないだろうか… 一緒に暮らしてるのに、最近では食事くらいしかまともに顔を合わせることもなかった。 服部はすぐに自分の部屋に籠もっていたから。 同居を始めたのはほんの偶然だった。 オレは自宅から遠くなるので一人暮らしを始めようと、大学から近くい物件を探していた。 不動産屋に連れてこられた古いアパート。 外見もなかなかよくて、部屋も広く家賃も安い。 一つ難を言えば、エレベーターがないことくらいで。。 たまたまそこに偶然服部が居合わせて、二人ともいたく気に入ってしまって、どちらが借りるか口論になった。 服部にしてもそれは同じだったと思う。 同居を始めた頃は、二人で結構遊んでた。 TVだって一緒に見て、バカ話に花を咲かせて夜通し起きてたり、本を読む時だって今まではリビングで読んでて、 だからオレたちはいつも一緒だった。 それなのに、二週間前から避けられるようになっていた。 食事はオレが作るから、さすがに一緒に食べるけど、食べ終わるとすぐに部屋に戻ってしまう。 何とか気を引こうと声を掛けるんだけど、見事に空振りに終わる。 オレ…何かしたか? お前に嫌われるような事、したか…? 思えば、夢を見始めたのも同じ頃だった。 オレは…現実で相手にされないから夢で構ってもらおうとしていたのだろうか? だけど、そこまでは求めていなかったはずなのに…… すぐに離れた唇は、なかなか次の行動を起こさなかった。 夢なら、ここですぐに舌を使って濃厚なキスを与えてくれるのに…。 ともどかしく思ったのも一瞬で、服部はオレのパジャマに手をかけ、ボタンを外していった。 露わになったオレの肌に、服部はイヤらしく舌を這わせていった。 オレは寝たふりをしているので、感じないようにシーツを握り締め、必死で耐えていた。 だけど、服部の舌は執拗にオレの胸を攻めてくる。 ぷくんと固くなった胸の突起を指で弾き、反対側を唇と舌を使って吸ったり転がしてくる。 そして首筋や胸の当たりをきつく吸い上げられる。 さすがに耐えきれなくなってきて、思わず声を漏らしていた。 「…あ……ん……」 自分の声に余計に性感帯を刺激され、次々と甘い吐息が漏れていく。 そんなオレの様子に服部も刺激されたのか、益々オレを執拗に攻めたてる。 もう、寝ているふりなんて出来ない。 オレは薄っすらと目蓋を開いた。 カーテンの隙間から月の光が漏れていた。 すると、そこに浮き彫りにされた服部の顔が間近でオレを覗いていた。 オレが瞳を開けるのを待ち焦がれていたように、服部はオレの耳朶を甘噛みしながら囁いた。 「最初から…起きとったんやろ?どや、もっと…気持ちようなりたいか?」 オレは躊躇いながら、服部の顔を見つめた。 夢じゃない。 夢じゃないのにこんなに服部が優しい。 オレはこんなに飢えていたのだろうか。 服部の優しさに……。 服部が優しくオレを見つめてくるのが妙に嬉しかった。 オレは瞳を潤ませながら、服部の顔を見つめた。 (服部に気持ちよくしてもらいたい……) 口には出さなかったが、その表情で読み取ったのだろう。 服部はオレの唇にちゅっと軽く口付けて、それからズボンの上からそっとオレの大事な部分に触れてきた。 「…あっ……」 「もう…こないにして…そない気持ち良かったんか…?」 そう言って、服部はスルスルとオレのズボンを下着ごとずり下ろしていった。 剥き出しになったオレの素足を軽く持ち上げて、服部はそこにも舌を這わせてきた。 太ももから付け根辺りが特に敏感になっていて、オレはビクンと大きく身体を仰け反らせた。 「ええ感度してるで、快斗…」 「…あ…やっ……!……」 ふいにオレの中央でそり立っているモノを服部が掴んで掻き始めた。 「あ……はぁ……っ」 「ええ顔してるで快斗…もっと…啼かしたい……」 そう言ったかと思うと、平次はオレの股間に顔を埋め、高ぶった熱の塊をすっぽりと口に含んだ。 「…あっ……」 生暖かい感触が全身を貫く。 服部は舌と唇を使って器用にオレを高ぶらせていった。 「ヤッ…ダ…ダメ……ッ!」 オレは恥ずかしさのあまり、思いっきり服部の顔を両手で押しのけた。 その瞬間、オレの中から熱い液が空中に開放された。 「…なんや、別にお前のやったら飲んだかて平気やったのに」 服部はなんでもなさ気に言ってのけた。 オレは真っ赤になって顔を隠した。 「ば…バカ…ッ!お前は良くてもオレが恥ずかしいんだよッ!!」 服部は笑いながらオレから放たれた蜜を指ですくって双丘の蕾へと指を這わし、オレの秘めた部分へと侵入しようとする。 「…くっ……」 初めての侵入者にオレの身体は必死で拒もうとする。 「ちょぉ…力抜き…ほぐされへんやん……」 「…分かってる…けど」 だけど、力を抜こうとするが強張って益々力が入ってしまう。 そんなオレに服部は首筋に舌を這わせてきた。 そして、強引に唇に割って入り、う舌を強引に絡めてきた――― 全身を甘美が貫き、ふっと力が抜けた。 服部はオレがキスに気を取られている隙に、指をぐっと押し込めた。そしてそのままゆっくりと動かし始める。 「…んっ……」 「キツイな…大丈夫か?しばらく辛抱してや…」 そしてまた服部は指をゆっくりと抜き差し始めた。 最初はあまりにキツくて痛みしかなかったが、しばらくするとほぐされたのだろうか。 少しずつ痛みが和らいで来た。 そして、あるポイントで身体が反応するようになった。 服部もそれに気づき、そこを重点的に攻め立てる。 「…んっ…は…ぁ…」 「だいぶ慣れたみたいやな。指…増やしてみよか…、力…抜いててな」 服部はそういって、指をもう一本増やしてきた。 先ほどとは違って、あまり痛みはなかった。 「あぁ…ん……」 それどころか、さっきより感じてる…。 身体の力が抜ける。服部の指にオレの全神経が集中する。 (オレってばこんなに、服部を感じてる―――) 時々唇を重ねてくるが、オレは自分から舌を絡ませ、服部を求めるようになった。 そんなオレに応えるように、服部も熱く舌を絡ませた。 全身で服部の熱を感じたい―――… 「快斗…そろそろ…ええか?」 オレの顔を覗き込んで、服部はそう尋ねてきた。 服部も早く達したくて堪らないのだろう。 切羽詰まった顔がなんだかとても艶っぽくて、思わず見惚れてしまうほどだった。 オレも服部が欲しくて堪らなくなっていた。 「はっとり……」 (オレも…オレも欲しいよ、服部……) オレは了承の意を込めて目を瞑った。 「ほな…ちょぉ我慢してや…痛いんは最初だけやから…」 服部は更にオレの足を押し広げ、後ろの蕾に自身の熱塊をグッと突き立てた。 「…………っ…」 相当の痛みを覚悟していたオレだったが、服部が丁寧にほぐしたからだろうか。そこまでの痛みはなかった。 すぐに慣れて、体中が快感へと酔いしれた。 「…んっ…は…あ………ん……っ」 「…快斗…お前…最高や――……」 「…あ…は…とり……」 段々と服部の腰の動きが早くなる。 それに合わせてオレも息遣いが荒くなる。 服部もそろそろ限界が近いようだ。眉間に皺を寄せて達するのを必死で堪えている。 「…かい…と……」 「…は…とり……」 「…ちょ…っ、もぉ限界…や…」 「…は……とり………」 服部は再び反り上がっているオレのモノへと手を伸ばし、今度は素早い動作で掻き始めた。 オレも限界が近かった。 「…一緒に…イこ……」 「あ…ッ…は…とり……」 「…かいと……ッ」 「…ああああぁ………ッ」 オレと服部は二人同時に快楽の絶頂へと意識を飛ばした―――… 少しして、オレはふっと目を覚ました。 起きた瞬間、とても幸福な気分だった。 あれは夢だったのだろうかとふと隣を見やった。 服部が隣で眠っていた。 知らないうちに、オレは服部の腕枕で眠っていたらしい。 途端に先ほどまでの熱い抱擁を思い出し、一気に頭に血が上ってしまった。 「起きたんか?」 「あ…服部…」 どうやら眠っていなかったらしい服部がこちらに顔を向けてきた。 オレは真っ赤になった顔を見せるのが恥ずかしかった。 「さっきの…ちゃんと覚えとるみたいやな」 「わ…忘れるわけねーだろ…っ!!」 オレは憤慨して叫んでいた。 (あんなに…あんなにスゴイことしたのに…忘れられる訳ないだろー!!) 服部はニヤニヤしながらオレを見ていた。 何か意味ありげで癪に障る。 「な…なんだよっ!言いたいことあるんなら…っ」 「オレが毎晩ここに通って来てたん覚えてるかー?」 ふいに落とされた爆弾。 毎晩…ここに…? やっぱあれって…… 「夢じゃ、なかった…の、かよ…。でも朝起きたら服もちゃんと着てたし…キスマークだってついてなかっ…」 そう言い掛けたオレの言葉を服部が遮った。 「証拠を残すようなヘマ、このオレがするわけないやろ?やるなら完全犯罪やでvそれにな、軽く吸うだけじゃ痕はつかへんねんで。 「こ…この…っ」 オレが毎日ヤられそうになる夢見るって悩んでたってのに、実は本当に襲われていたなんて ……っ! ま…毎晩……通ってただって!? そして、起きないのをいいことに、眠ってるオレにあんなことや、こんなことまで…!! 「この…ムッツリスケベ…ッ!!」 「おおきに。せやかてぜんっぜん起きひんお前も悪いんやで?起きへんくせに反応だけはやたら良くてな〜 いけしゃあしゃあとそんなことを言う。この男は……!! 「んなこと言うなら、もう二度とヤらしてやんねーからなッ!!」 これで相手も黙るだろう、と思っていたのだが…しかし相手が悪かった。 益々付け上がらせるような返事が返ってきたのだ。 「別にええけど…快斗ん方が我慢出来へんのとちゃう?ごっつぅ気持ちえかったやろ? 昨日もな、やらしいに誘うて射れて欲しそうにしてたやん自分。一応夢や思てるみたいやし、我慢すんの必死やったんやで、オレ」 「し…知るかっ!!てか誘ってなんかねー!!ふざけたこと抜かすな〜ッ!!」 オレは真っ赤になって、思いっきり枕を服部に投げつけた。 服部は軽くかわしてからからと笑うばかりだった。 オレ…とんでもねーヤツに飼い馴らされたんじゃあるまいか…… オレは一人、ため息をついたのだった―――…
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